高等教育政策:2026年を展望する(2ページ目) | 教職員のための教育制度を紐解く

寄稿

教職員のための
教育制度を紐解く

学校経営アカデミー首席研究員
大学マネジメント研究会 会長
本間 政雄

高等教育政策:2026年を展望する

2026年1月

大学予算総額は微増、予算は教育、研究、経営に関する実績ベースで傾斜配分強化か?

 臨時国会で承認された約18兆3千億円の25年度補正予算のうち、大学への新規支援関連は、大学・高専機能強化支援事業(成長分野転換基金)の200億円に留まっています。2026年度予算(案)を見ても、国立大学に対する基盤的経費である運営費交付金は632億円増の1兆1,416億円、私大の経常費補助金は145億円増の3,125億円に留まっています。インフレに加え、人件費の上昇や光熱水料・物件費の高騰を受けて、中小規模の大学は言うまでもなく、外部資金や寄付金収入が比較的潤沢な旧帝大や大規模私大でも財政運営は必ずしも余裕がある訳ではありませんので、増額の効果は限定的となる可能性があります。
 ちなみに、財務省の大学予算に対する基本姿勢は、「国立大学の運営費交付金は、一律配分から競争的資金への更なるシフトの推進と国立大学の運営費交付金依存度1. 交付金依存度は、法人化時の2004年の64.0%から24年には47.4%まで低下。[1]低下目標の設定」であり、私学助成に関しては、「絶対的な教育の質、学生への付加価値、地域・社会で求められる人材育成という観点から評価し、その結果に基づいてメリハリを強化すべき」2. 財政制度分科会2025年11月11日提出財務省資料「文教・科学技術」1p。[2]というものです。
 具体的な内容を見てみましょう。国立大学に関しては、既に交付金の約1割の1千億円を教育、研究、経営改革に関する11の指標の実績状況に基づいて75〜125%の範囲で配分額を増減することになっていますが、財務省は再配分額をさらに増やすことを企図しています。
 私立大学に対しては、2026年度から定員充足率や経営状況等が一定の基準を満たさない大学に、助成金の交付要件として「経営改革計画」策定を求めることになっていますが、この「計画」に関し、KPI(定員充足率、財務状況、教育の質など)を設定した上で進捗管理を行い、「進捗状況に応じて私学助成額の更なる減額、不交付措置を適用することで、抜本的な経営判断を促すべき」としています。
 これに対し、文科省は、「大学の知的創造性を最大化するためには、(運営費交付金、私学助成という)基盤的経費と競争的資金のベストミックスが必要」なのに、「10年以上前から基盤的経費の一方的削減のためにシステムにゆがみが生じ、安定的な教育研究活動が阻害されているとの批判がある」として、安定的な基盤的経費の措置を強く求めています。
 2026年度予算が、財務省との折衝を経て最終的にどの程度に落ち着くのか、また措置された予算の「メリハリのきいた」配分がどの程度実現するのかは予断を許しませんが、予算総額を増やさずに(あるいは微増に留め)、人件費、物件費、光熱費などが高騰する中で、基盤的経費とされる予算に実績評価などの競争的要素をこれ以上導入することには教育研究への波及が大きいと思います。今後の展開を注視すべきです。

株式会社JSコーポレーション 代表取締役社長 米田英一